事故からの回復暦



高次脳機能障害は、『薄紙を剥がすように良くなる』と医者から説明を皆さんも受けているとは思いますが、本当に何年か経って振り返ると、『少し良くなっている』と感じる位で、目に見えて良くなったとはなりません。


家族の事を少しお話します。

2011年5月に関越道で事故。
救急病院に運ばれ、

右大腿骨骨折
右脛骨腓骨粉砕骨折
左鎖骨骨折
左右坐骨骨折
肋骨骨折
肺肝臓挫傷
頭部打撲(びまん性軸索損傷)

大腿骨の手術後、麻酔から目が覚めたのが5日後で言葉を失って、笑いもせず、感情は無くなっていた。家族の顔も分からなくなっていた

2ヶ月後リハビリ病院に転院
作業療法により、着替え等声掛けが有れば出来るが、ボタンのかけ間違いなどはあるけど…
脱抑制で怒りが止まらなくなり、壁やドアを殴り手の拳は血だらけ

薬の調合の為に精神科に転院
3ヶ月で落ち着き退院し、在宅介護


脳損傷後、家の中のトイレや洗面所や玄関の場所も分かりませんでした。

何十年も暮らしている地域なのに散歩に出掛けても道は分からず、帰って来れません。(地誌的障害)

お弁当に入っている緑色のバランも食べてしまっていました。(失認症)

文字を読めませんでした。(失語症)


トイレに行ってもでませんが、10分置きにトイレと言う時も有りました。(記憶障害、注意障害)


暑さも寒さも分からないですから、冬に裸で畳の上で寝ていても風邪を引きませんでした。寒いとも言いません。


尿意も便意も分かりませんでした。


出身大学も職場の事も覚えていませんでしたし、5分前の事も覚えていませんでした。(記憶障害)

家族の名前も顔も覚えていませんでした。


左側に置かれているおかずには手をつけませんでした。(左半側空間無視)


左手が勝手に動いてしまいます。(拮抗症)


家族は3日で介護の限界を感じた
千葉県の拠点病院に通院することになったが、家族の辛さは分かってはもらえなかった


顔を洗う事から食べられないものや全て、家族が作業療法士の様に教える。


MRI検査で脳が萎縮していることが分かり、介護保険適用となった


デイサービスを利用出来ることになり、家族が休む時間が出来た

デイサービスに行っても、車から降りない、デイサービスから脱出し行方不明3回、ショートステイから脱出1回


スタッフの優しさで安心できる場所と思ってから、
落ち着いて来た

2014年、やっとリハビリを再開

2015年、イライラが多くなる

輝水会でプールを体験
笑顔が増えた、人(デイサービススタッフ)と話す様になる

デイサービスで電車に乗って美術館に行く
笑顔が増えた

コーヒー店に行くことを自発的にデイサービスで提案し、実行する
デイサービスの他の通所されている方とも話すようになる

少しづつ笑顔が増えていく。

2016年、裸で寝ても風邪を引かない

失禁はずっと有りましたが、2018年夏までに、デイサービスのスタッフさんのお陰で日中はトイレに行けるようになった。(夜の失禁は続いている)
    失禁したシーツ、掛け布団、毛布等を洗いコインランドリーで乾かす作業は時間が読めませんので、自分の予定は立てられない日々

2018年、「俺はどこも悪くない」と強気

雨戸の締め方
布団の引き方
2年教えて続け、やっと覚えるがしばらくやらないと思い出すのに時間がかかる


2020年、今日が何月何日か分からない
                  自分は40歳位と思っている(実年齢62歳)

夜の失禁もまだある

失禁問題

 事故後、大腿骨骨折をしていた事で、手術後は紙おむつ対応でしたので、最初は本人も寝たままでは出ないと言うような訴えがありましたが、リハビリを始めても尿意や便意は分からなくなっていた様で、3軒の病院の入院中は紙おむつ対応でした。退院したら治るかと軽く思っていました。
 在宅介護になり1年は便意も尿意も分からず、家のどこにでも用を足していました。玄関でも、リビングでも、扇風機にでも、畳の上でも、どこでも。
 5年が経った頃から、デイサービスの皆さんの声がけのお陰で日中は自分からトイレに行けるようになりました。夜は失禁は続いていました。
 Dfreeさんの尿意のセンサーも試しましたが、本人が外してしまっていました。

 2018年には日中はトイレの自立ができ、夜は週に1〜2回の失禁となりました。
 この夜の失禁を変えたのは、日中が自立しているのにおかしいと判断して下さった医師から家族への依存が原因ではと教えて頂き、失禁の汚れ物を当事者に持たせて脱衣場までに持たせる様にしたら、失禁が減りました。

 家族が教えるのが面倒だったり可哀想だからと手を出していては依存させてしまうことがわかりました。
 我が家族の願いは、自分の事が1つでも出来るようにです。

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